世界恐慌の時代、各国が自国の産業を守るために関税を高くして、外国からの製品を入れないようにする「保護貿易」を進めた結果、かえって対立が深まり、第二次世界大戦の引き金のひとつになったと言われています。だから戦後は「同じ過ちを繰り返してはいけない」という反省から、GATTやWTOなどの国際機関を通じて、世界中で「自由貿易」のルールを作ってきました。
そんな中、アメリカのトランプ大統領は「自国の産業を守る」という理由で、もう一度保護貿易に戻ろうとしています。アメリカ国民に選ばれた大統領が公約を実行しているわけなので、筋が通っているといえば通っています。ただ、今は世界中で物価高が問題になっているタイミング。関税を上げることで、海外からの安い製品が高くなってしまうと、多くの人々の生活が苦しくなってしまうかもしれません。
とはいえ、保護貿易がすべて悪いわけでもありません。日本でも、自国の農業を守るために、海外からの安いお米の輸入を制限しています。もし安いお米が自由に入ってくるようになったら、日本の農家がやっていけなくなるかもしれません。そうなれば、田畑は荒れ、地方の暮らしも成り立たなくなり、過疎化がますます進むことになるでしょう。
今回トランプ政権が特に厳しく対応しているのは中国です。中国では大企業の多くが政府とつながっていて、民間企業であっても政府の影響を受けやすい構造だと言われています。だから、安全保障の面からも中国との経済関係を見直すべきだ、という声がアメリカだけでなく他の国からも出ているようです。
ただ、私みたいなひねくれ者からすれば、「日本だって大企業と政治の距離は近いんじゃないの?」と疑いたくなる気持ちもあります。
それに、最近よく耳にするのが「日本の土地が中国資本に買われている」というニュース。正直、ちょっと不安です。中国では土地を買っても個人の所有にはならないので、自分の資産を守るために日本やカナダ、オーストラリアのような国で土地を買う人が増えているそうです。その気持ちもわかるけれど、じゃあ日本の土地がどんどん買われていったとき、「経済の自由」と「国の安全」はどう両立すべきなのか。すごく難しい問題です。
アンパンマンを見れば、誰が正義かなんてすぐにわかります。バイキンマンだって、自分の行動が正しいとは思ってないでしょう。でも大人の世界では、みんながそれぞれ「自分なりの正義」を持っていて、正解が一つじゃないのが厄介です。
政治の話になると、「どうせ何を言っても変わらない」と思いがちだけど、それって本当でしょうか? 選挙に勝つために、政治家が耳ざわりのいいことばかり言って、結局は自分の支持者のためだけに動く…。そんなことでいいのでしょうか?
今回、追加関税に90日間の猶予が設けられ、株価の下落が一時的に落ち着いたようですが、正直なところ、私たちのような一般市民にとって、株価の変動が直接的な影響を与えることは少ないように感じます。テレビなどで大きく報道される株価の動向と、私たちの生活実感との間には、どうしてもギャップがあるように思えます。
むしろ、関税が撤廃され、米などの外国製品が安く輸入されることで、物価が下がる方が、日々の生活には直接的な恩恵があるのではないでしょうか。円高が進めば、海外旅行もより身近なものになります。経済のニュースが、株価だけでなく、私たちの生活にどう影響するのか、もっと身近な視点からも報道してほしいものですね。皆さんはどう思われますか?